「日本糖尿病学会の提言」を患者中心の食事療法の実現に向けた転機としたい

2013年3月18日、日本糖尿病学会のHPに「 糖尿病における食事療法の現状と課題 」と題する提言が満を持して発表されました。今回、このタイミングで日本糖尿病学会が提言を行った目的は2つあると思います。第1に、昨今マスコミで話題となり、医療従事者や糖尿病患者に大きな影響を与え、論争の的となっている「糖質制限食」について、最新の知見に基づいて、きちんと批評・相対化し、日本糖尿病学会としての考え方を社会に示すこと。第2に、これによって、糖尿病の食事療法における世間の混乱を収拾し、マスコミに節度ある報道を期待することではないかと考えます。

この提言内容についてのマスコミの対応は「糖質制限食、現時点で勧めず…糖尿病学会が提言」(読売新聞)といった見出しが多く、この見出しのタイトルで、糖質制限派の読者は中味を十分に吟味せずに、おおいに失望してしまった方もたくさんおられたようです。ただ、今回の提言内容には、これまでの学会の主張から大きく飛躍し、日本糖尿病学会から糖質制限食に歩み寄ったと思われる主張もたくさん含まれますので、そうした点にも着目して、私自身の感想を述べたいと思います。

論評タイトル「全体的には評価できる点が多々あるが、『原則エネルギー制限主義』の継続は我が国の2型糖尿病の実情に合わず、硬直的で柔軟さに欠ける内容」 Continue reading