非インスリンEarly stage糖尿病患者へのSMBG導入プロジェクトを始動!

東京衛生病院教会通りクリニックと門前薬局との協力によって、Early stageの糖尿病患者(食事療法のみまたは経口薬治療の患者)を対象に、早期に自己血糖測定(SMBG)を導入し、HbA1c<6%をめざす試みを企画した。今回の企画は、自発的に門前薬局で血糖測定器を購入してくださる患者さんのみを対象にしている点が特徴である。今回は非インスリンEarly stgaeの糖尿病患者に対するPreliminaryな試みである。つまり、まずは少人数の患者を対象に、7ポイント3日間血糖応答から、いかに多くの情報を読み取り、それを服薬指導、栄養指導などに活かしていくか?それぞれの職種の役割分担は?初診時のオリエンテーション→患者の食事記録、360°view記載→医師の360°viewの解析、薬剤最適化→栄養士による基礎カーボカウントを中心とした栄養指導、薬剤師による服薬指導といった一連の流れを「チームとして体験すること」、つまり、実践のノウハウを掴むためのpreliminaryな実践と位置づけている。最終目標は「血糖パターン管理により、自立した自己管理ができる患者の育成方法の確立」「360°view sytemによる薬剤最適化プログラムによって、より良質な血糖管理を実現すること」である。

【開始時のオリエンテーション】
●看護師
360°view(7ポイント3日間血糖測定)の方法、意義、360°viewの記載方法、運動療法の内容・時間の記載方法について説明し、カーボカウントを中心とした指導テキストを配付。食事、運動、薬と血糖応答との関係について説明する。

●管理栄養士
配付指導テキストを見ながら、カーボカウント、食事記録の書き方(計量、秤量の仕方、栄養成分表示のラベルの見方)などを教える。

●門前薬局薬剤師
SMBG指導を担当します。

【プロジェクトにおける役割分担】
●参加する患者
1.7ポイント3日間の血糖測定を行い、360°view systemの用紙に記入し、血糖応答のグラフを完成させます。
2.3日間の食事記録を書きます。
3.360°viewのグラフに自分が行った「運動」の内容、時間を記入する。

●医師
診察の度に、360°view から読み取れる所見を箇条書きして、行動プランを立て、記録用紙に記載する。この際、医師は行動プランの中に可能な限り、具体的な提案をするように心がける。例えば、1食70〜80gの基礎カーボカウント指導の徹底、脂肪の血糖値に与える間接的な影響について説明し、高脂肪食に代わるメニューの代替案について指導する、ジョギング前後での血糖測定を指示などである。

●看護師
医師の診察の後に「患者が作成した360°viewと医師の360°viewに対する所見用紙」を参照しながら生活指導を担当する。

●調剤薬局薬剤師
患者さんが持参した「360°view用紙と医師の記載したこの所見用紙」を元に、なぜ処方変更が行われたのか、分かりやすく説明。血糖値異常を来した原因を探求し、もしも服薬コンプライアンスが関わることが判明した場合は医師にその情報をフィードバックして、360°viewの血糖応答グラフを用いながら、その薬剤の果たす役割について、分かりやすい説明を行う。

●管理栄養士
医師の診察前に、食事記録を元に、9回の食事の糖質摂取量を計算し、医師に報告する。血糖値異常が生じている理由を食事の糖質量、エネルギー量などの観点から分かりやすく指導を行う。また医師の記録した所見用紙に基づいて、食事指導を継続的に行う。

今回は10〜20名程度の患者を対象に、まず「チームとしての指導の流れ」を体験し、指導媒体、指導方法などの改善、開発に繋げていきたいと考えている。

【薬剤最適化プログラム】

近年、糖尿病治療のテーラーメイド化が叫ばれている。徒にA1cの改善ばかりを追求するのではなく、「低血糖」「食後高血糖」「体重増加」などに配慮し、患者の病態や患者の希望に合わせた薬剤選択(決定共有アプローチ)を行うことの重要性が再認識されている。360°view systemを活用した薬剤最適化プログラムはこうした目的に沿ったアプローチである。7ポイント3日間の血糖応答から「血糖のパターン」を評価し、低血糖の有無、空腹時(食前)高血糖の有無、食後高血糖の有無を評価し、それらの血糖値異常がなぜ生じているのかを、「食事記録」「運動記録」から解析し、「血糖パターン異常」に合わせて、適切な処方変更を行い、その都度「血糖パターン分析」を繰り返すことで、血糖変動の少ない、体重増加の生じにくい最適な薬剤を選択していくためのプログラムである。食事中の糖質(基礎カーボカウント)に着目することで、「薬剤の効果」と「食事の影響」を分離することが可能となり、その結果、薬剤の最適化と食事指導を同時に進めていくことができる点が、他のアプローチにはない本プログラムの最大の特徴といえる

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