患者さんの食文化に配慮した基礎カーボカウント

9月に「EBMの実践ツールとしての基礎カーボカウントの意義」というタイトルで投稿しました。繰り返しになりますが、EBMとは「エビデンスを個々の患者に合わせて、最良・最善の医療を提供すること」です。エネルギー制限食も糖質制限食も、それぞれ多くのエビデンスをもっていますが、共に遵守率が低いことが課題です。日本の2型糖尿病患者さんの多くは「エネルギー制限食」にも「糖質制限食」にも居場所を見つけることができずに放浪しています。EBMの考え方に立った場合、患者の自己管理能力、食文化に配慮することが求められます。通常は、バランス食文化圏(栄養バランスの良い食事を食べたいと考える人たち)を対象に、50〜60%の炭水化物比率で基礎カーボカウント指導を行いますが、糖質制限食(ローカーボ)文化圏の人々の文化にも配慮し、40〜50%の炭水化物比率で基礎カーボカウント指導を行うことを提案しています。但し、40%未満での基礎カーボカウント指導は難しいと考えています。新しく改変した図を挿入します。


■「薬物療法最適化プログラム」の手段としての基礎カーボカウント

私の基礎カーボカウントは「薬物療法最適化プログラム」を前提としています。7ポイント3日間の血糖応答に基づいて薬物療法の最適化を進める際、エネルギー制限食指導では有効な指導を行うことはできないからです。基礎カーボカウントは、患者さんの食文化を尊重しながら、可能な限り最適な栄養バランスを維持することを目指しています。図はあくまで個人的な見解で臨床疫学データに基づくものではありません。