基礎カーボカウントを活用した薬物療法最適化プログラム

『2型糖尿病のためのカーボカウント実践ガイド:食品交換表とカーボカウントの連携を推進する』(医薬ジャーナル社)を出版してから、このテーマの講演依頼が増えています。近々予定している講演会で用いる【講演要旨】をご紹介します。

【講演要旨】

近年、糖尿病治療のテーラーメイド化が叫ばれている。徒にA1c値の改善ばかりを追求するのではなく、「低血糖」「食後高血糖」「体重増加」などに配慮し、患者の病態や患者の希望に合わせた薬剤選択(決定共有アプローチ)を行うことの重要性が再認識されている。演者は基礎カーボカウントを活用した薬剤最適化プログラムを提案している。7ポイント3日間の血糖応答から「血糖のパターン」を評価し、低血糖の有無、空腹時(食前)高血糖の有無、食後高血糖の有無を評価し、それらの血糖値異常がなぜ生じているのかを、「食事記録」「運動記録」から解析し、「血糖パターン異常」に合わせて、適切な処方変更を行い、その都度「血糖パターン分析」を繰り返すことで、血糖変動の少ない、体重増加の生じにくい最適な薬剤を選択していくためのプログラムである。食事中の糖質に着目すること(基礎カーボカウント)で、「処方と患者のマッチング(処方に由来する問題)」と「食事の影響(患者の自己管理に由来する問題)」を分離することが可能となり、その結果、薬剤の最適化と食事指導を同時に進めていくことができる点が、他のアプローチにはない本プログラムの特徴といえる。血糖パターン分析を行う際には、血糖値異常の背景にある【病態】(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に配慮しながら、薬剤の選択を行うことが重要である。当日は血糖パターン分析による薬剤最適化の実際を、症例を提示しながら解説する予定である。